一年前にバイト先で見つけた小さな天使。いつもひとりで窓辺に座って本ばかり
読んでいる。なんて可愛いんだろう。なんて美しいんだろう。誰とも群れること
はなく、弁当食べるときもトイレに行くときも、いつだってひとりだ。
わたくしの名はマワル。女子なんてもんは嘘つきで、幾つになっても連れション
するそんな生き物とばかり思っていたから、あの娘は特別天然記念物のように輝
いていた。守ってあげなければ絶滅寸前の類の女子だ。
いつもあの娘を見ていた。見ていることしかできないから、視姦するかのごとく
見た。穴があくほど見つめた。まあ、元々穴が空いているんだけど。女子なんて。
マワルはね、君を連れ出して、こんな監獄みたいなところから二人で逃げちゃお
うかと思っていたんだ。いつも頭の中で妄想ばかりしてニヤニヤしてた。マスク
してるのをいいことに、口元ゆるみっぱなしで。
でも、結局なにもできないまま春が終わった。
というかマワルには当時恋人が居て、ほんとうにどうすることも出来なかったん
だ。今もいるけど。
あれから一年。同じバイト先に久しぶりに顔を出したら、奇跡が起きた。
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君と出会い、世界が初めて世界として呼吸し始めた。
昨日まで見ていたドブネズミ色の空さえも
今日はなんだか美しく見える
(当時の日記より)